林 俊吾
JOB INTERVIEW

二輪/CMFGデザイナー

林 俊吾

/ 2020年入社

INTERVIEW CATCH COPY
乗る人の声を聞く。感じる。
足で集めた色や素材の好みをもとに
魅力的なバイクを構成する。
STORY 01

バイクはパーツがむき出しの乗り物。
クルマでは隠されてしまうところまで
こだわれるのが面白い。

僕はバイクのCMFGのデザインを担当しています。Cは色(color)、Mは素材(material)F は仕上げ(finish)で 、Gはグラフィック(グラフィック)。

なぜ「CMF」ではなく「CMFG」なのかと言うと、どんなバイクにもグラフィカルな要素が入るからです。クルマのデザインではCMFが一般的ですが、バイクには必ずと言っていいほどグラフィカルな要素が入るため、一つ領域が増えてCMFGになります。クルマはロゴも立体エンブレムのみで表現されることが多いですが、バイクはデカールの中にロゴを取り入れグラフィックの一部としてカラフルに表現することも多いんです。それから、バイクはパーツやエンジンがむきだしになっている乗り物です。クルマならカバーで隠されてしまうエンジンの構造もデザインになる。そういったものも含めて考えられるのが、クルマのデザインと大きく違うところであり面白いところです。

とはいえ、CMFデザイナーもCMFGデザイナーも求められる役割は同じです。立体になったモデルに、色や素材の要素を足して、細部をぐっと詰めて、魅力的なものに仕上げていく。考えるべき要素が多くて、造形との両立に毎回かなり苦心しますが、製品になったところを見るのはとてもワクワクします。しかも、製品に最も近い状態のモデルを誰よりも先に見ることができる。CMFGデザイナーの特権ですね。

STORY01
STORY 02

良いデザインとは、
お客様が欲しいと思うデザイン。
現地調査で自分の思い込みを捨てる。

「良いデザイン」にはいろいろな定義があると思いますが、スズキでは「お客様が欲しいと思うデザイン」を良いデザインという風に捉えています。この「欲しい」というのが重要。「格好よさ」は人それぞれで変わるものですが、「欲しい」はある程度、論理立てて設計することができる。その元となるのが現地調査で得た、地域に合う色や素材、好み、トレンドなどの情報です。自分の足で、どれだけの情報を正確に取集できるかを大切にしています。

調査するのはスズキのバイクが販売される国です。東南アジア、インド、欧州、北米。好みも時期によって変化するので、積極的に現地に出張して調査します。これは入社して結構衝撃的なことでした。「ここまでするの!?」と。でも、いい製品をつくるのには欠かせないプロセスです。

以前、北米で調査をしたときの話ですが、現地に行く前は某二輪メーカーのイメージのせいか、ファイヤーパターン(=正式名称は“Flames pattern”)のような派手で力強いデザインが好まれるに違いないと思っていました。ところが実際に訪問すると、意外と保守的というか、周囲から浮かない色やデザインが好まれるし、最近のトレンドを踏まえたものがいいということが分かったんです。思い込みに左右されず、現地で見て、感じたことを信じる。自分のエゴの押し付けにならないように気をつけています。

STORY02
STORY 03

良いデザインへの到達に近道はない。
自ら考えることとチーム議論の
繰り返しで磨き上げていく。

調査で得た情報をもとにつくったコンセプトやアイデアを、あえてもう一度考え直すことも意識しています。良いアイデアを出すのに近道はないです。メンバーや上司に提案して、「これはちょっと違うんじゃないか」と言われる。そこからもう一度考え直したものが良かったという経験の方が遥かに多い。デザインというのは、繰り返しの中で磨き上げられていくもの。泥臭いと思います。でも僕は高校まで野球一筋だったこともあり、地道にやるのが性格に合っているみたいです。

STORY03
STORY 04

プライベートな時間は釣りに没頭。
一投にかける集中力は
デザインの仕事と似ているかも。

社会人になってからは、趣味に釣りが加わりました。職場は海のすぐそばにあり、クルマを5分走らせれば、釣りができる環境です。最近は休みの日=釣りの日になっています。大きな魚を釣るために道具を準備して、大海原に向かって、ルアーを100mくらい飛ばす。そこまでに懸ける労力とか集中力は、デザインの仕事と通ずるものがある気がします。魚がどこにいるかわからない状況であれこれ工夫を凝らすのも、釣り上げたときの爽快感も、仕事に似ているかも。

僕のように、乗り物以外にも別の趣味がある人は社内に多い気がします。どちらかに偏らず、どちらにも全力。仕事とプライベートを合わせて人生だと思っているからこそ、自由な社風やデザインが生まれているのかもしれないですね。

STORY04