スズキのデザイナー・モデラー座談会
SPECIAL CONTENTS
スタイリングデザイナー、
CMFGデザイナー、モデラー

スズキ二輪のデザイナー・
モデラー座談会

入社15年、22年、31年と年次の異なる3人の社員が集合。
二輪デザインの面白さやスズキという会社の特徴について語ります!

STORY 01

今の仕事内容と経歴 どんな仕事をしていますか?

ーまずは自己紹介と担当している仕事からお願いします!

  • 遠藤:

    遠藤

    遠藤

    入社したのは2009年で、スタイリングデザインを担当しています。
    2017年から2020年はイタリアのデザインセンターに駐在し先行デザインを担当していました。

  • 石山:

    石山

    石山

    入社は2002年で、CMFGデザインを担当しています。
    市販車のカラーリングを中心に、ショーモデルのCMFGも手掛けています。
    最近ではメーター等のUIデザインもCMFGチームの仕事として担当しています。

  • 松澤:

    松澤

    松澤

    1993年入社です。
    入社から現在に至るまで多くの業務を経験してきました。カラーデザインを4年、次に大型機種のスタイリングデザインを8年、その後ASEANやインド向けスクーターのスタイリングデザインを8年担当しました。2018年からモデリングを担当し、現在はモデルチームのリーダーとして取りまとめを行っています。

STORY 02

スズキ二輪デザインの特徴 実践に勝る経験なし。
与えられるチャンスを生かして、
若い人に成功体験を重ねてもらう。

松澤:

スズキの二輪デザインは競合他社に比べ少数精鋭。従って、あらゆる工程に顔を出しマルチに活躍する精神が根付いています。販売するバイクのほとんどが海外市場向けなので、常に国内外のメーカーとユーザーの動向を注視しています。多くの市場に向け、バリエーションに富んだカテゴリーのバイクのデザインを行うため、活躍の機会は次々とやってきます。これはデザイナーとして、とても幸せなことですね。

遠藤:

僕は若い人を実戦で育てていく文化がある会社だと思っています。グループ内コンペが本当に頻繁にあって、年次に関係なく参加できるんです。僕も入社してすぐに参加しました。スタイリングデザイナーのスケッチが壁に一斉に張り出されて、選ばれたものは商品化されます。若手のスケッチが採用された実績も多いです。設計面での不足などは、ちゃんとチームでフォローしていきます。自分のスケッチが最終的にどんな形で世に出るのかを経験できるのは、すごく貴重なことですね。

石山:

直近の海外ショーでお披露目したバイクのデザインを担当したのは、若手の社員でした。デザイン業務に初期段階から関わって、数年後には成果物を見ることができる。私もそうして育ててもらいました。スズキの二輪デザインの良いところは、立場関係なく相談をしやすいこと。フラットに意見を交換できるのは、若手・先輩それぞれにとっていいことがあります。年次が高くなっていく分、経験が増えて、勘所みたいなものが研がれていくのですが、それに縛られすぎないようにしてくれる効果があると思いますね。この文化が継承されていくように、今は声をかけやすいチームづくりを心がけています。

STORY02
STORY 03

スズキ二輪デザインの強み あえて組織を細分化しない。
新しいアイデアを大切にする環境だから、
ユニークなデザインが生まれやすい。

松澤:

私が入社した1990年代は、一人のデザイナーが一機種のスケッチからカラーリングまですべてを任されていたので、一機種一機種に担当したデザイナーの個性が出やすく、その分バラツキも大きかった。そのバラツキを無くし、安定してより良いデザインを生み出すために、スタイリング、モデル、CMFG、それぞれのスペシャリストが担当する現在の体制が生まれました。

石山:

とはいえ、あらゆる工程に関わる姿勢は、体制が変わった今も生き続けています。あえて組織を細分化していないからこそ、新しいアイデアが生まれるし、海外に行っても「スズキはスズキ」と表現されるのかなと思います。スズキはいい意味で、ずっと発展途上の組織です。チャレンジできる文化は残しつつ、デザインレベルを上げていくことについては、まだまだ追求している最中ですね。

遠藤:

僕は入社して3年目のとき、海外にあるスズキの代理店に1か月ほど滞在したことがあります。代理店の社員から情報を収集して、社内に持ち帰り、それをもとにバイクをデザインするという経験をしました。日本を飛び越えて、働く場所にも縛られない。海外の人とも関われる。仕事の内容だけでなく、こうした環境も特徴的なデザインが生まれやすい背景だと思います。

STORY03
STORY 04

デザイナーとして意識していること バイクは趣味性が高い乗り物。
作り手側も趣味に打ち込むことで、
乗り手の心に共感していく。

松澤:

スズキには生活の足となる小型のスクーターから、オフロードやクルーザーといった大型バイクまで幅広い製品があります。乗る人の心に刺さるものを生み出すためには、我々作り手側が乗り手の気持ちをどれだけ理解できるかがポイントで、特に趣味性が高い大型バイクはそこが鍵を握ります。レースに使われるバイクなら、世界大会の結果やトレンドを知っておく。それが製品の細部にまで活きるので、常にアンテナを張るようにしていますね。だから、この会社には仕事でも趣味でも、二輪にどっぷりな人が多いのだと思います。

石山:

たしかに平日は仕事でバイクを触って、休日はサーキットを走っている人もいますね。あとはバイク以外の趣味を持っている人も多い。しかもその趣味の造詣が深くて、仕事にも活かされている部分があると思います。

遠藤:

尊敬しているモデラーの先輩に、趣味で写真を撮っている人がいます。年に一回は海外へ行って、現地の国立公園のようなところで素晴らしい写真を撮っているんです。僕は、もはや写真家だと認識しています(笑)。そんな風にバイクとは別のことを突き詰めている人はたくさんいますよね。

STORY04
STORY 05

この仕事の面白さ、感動した瞬間 お客様の声を大切にしているからこそ
お客様の反応を見る時に
一番テンションがあがる。

遠藤:

僕は2017年から2020年までの3年間、イタリアのデザインセンターに駐在していました。現地でいろんな人とのコミュニケーションを通して情報収集し、スケッチを描いて、モデルを作り、ショーで発表をして、一つの機種を世に送り出す。その中でいつもお客様の声を大切にしてきたからこそ、ショーに来た人が熱狂しているところを見たときはすごく感動しました。以前にも、イタリアのEICMAという世界的なモーターサイクルショーに2機種を出展して、そのお披露目シーンの中継を職場でチームの仲間と一緒に観たのですが、やっぱり感動しました。長い時間を掛けて準備してきたものなので、それぞれの段階に思い出がたくさんあるんです。幕を取られる瞬間に、これまでの思いが結実するというか、ジーンと来るものがありますよね。

石山:

お客様の反応が仕事のモチベーションになるというのは、すごく共感します。海外で販売されるモデルが多いため、実際に使われているシーンを見る機会が少ないんです。だから海外出張は、楽しみでもあり、ドキドキするもの。欧州や北米に赴いたときに、自分がデザインに携わったモデルが街中で走っている姿を見ると感慨深いものがあります。「この色が気に入ったから、買ったんだ」という言葉をもらった時は、たまらなく嬉しかったです。ASEAN出張では、日常生活の足として使われているシーンが多く見られます。「お客様の生活を支えるものを作っているんだ」と実感して、気持ちが引き締まりますね。

松澤:

僕も2人と同じ意見です。現地に行ってやり取りするところに、この仕事の楽しさやモチベーションがすごく詰まっているなと感じます。スタイリングの方向性を決めるときに、販売地で調査をして、それを商品に落とし込んで、市場に出たときにこちらの狙い通りの反応が返ってくると「やった!」と思いますね。それと同時に、思わぬ反響が返ってくるのも、すごく嬉しいです。次のヒットにつながるヒントになるので。

STORY 06

魅力的なデザインを形にするために アイデアも体制も
独りよがりにさせない。
困難はチームで乗り越えていく。

遠藤:

バイクデザインはスタイリング、モデリング、CMFGと様々な工程を経て完成します。だからこそ、どうすればモデラーや CMFGデザイナーにうまくバトンを渡すことができるか、常に悩みますね。例えば、プレゼンのタイミングが迫っているのに、自分のアイデアをうまくモデラーに伝えることが出来ず開発が進まない、なんてこともあります。そういうときに突破口を開いてくれるのが、チームのメンバーですね。チームに相談することで修正の方向性が見えて、開発が先に進んだという経験が何度もあります。最近の仕事でも助けられたばかりで・・・本当にありがたいです。

松澤:

チームのありがたさは、まとめる立場になって、より強く感じますね。やっぱり、みんなの個性が強いこともあって、いいものをつくろうとするこだわりも強く、折り合わないときもある。そういうときこそ間に入って、折衷案を考えるのが自分の役割なんだなと思います。そのためには、スタイリング・モデル・CMFGのどのメンバーからも話しかけられやすい人でいないといけない。良いハブとして何ができるか、毎回試行錯誤しています。

石山:

CMFGデザインの仕事も個人の裁量が大きいので、1人で悩むことがよくあります。そういう時はアイデアも独りよがりなものになりがちです。出来た提案をチーム全体でチェックして、意見を出し合う。足りないところは知恵を借りる。良いものは、この積み重ねでしか生まれないと思います。逆にいうと、これまでチームでいろいろな苦難を乗り越えることができたので、「独りで抱え込まなくていいんだよ」ということを若い人に伝えていきたいですね。あとは、竜洋という環境が助けてくれることもあります。職場の周辺は自然が豊かなので、通勤の傍ら目に映る景色が良い気分転換になるんです。バイク通勤している人たちからは、寄り道を楽しんで帰るという話も聞きますよ。

STORY06
STORY 07

スズキで活躍している人の特徴 いつまでも挑戦する心を忘れない。
仕事するほど興味が広がって、
新しいものをつくりたくなる人たち。

石山:

もう10年以上スズキで働いていますが、バイクづくりへの興味はどんどん広がっています。もっと知識を得たいし、好奇心が尽きないです。実は私はここで働くまで、バイクの免許を持っていませんでしたが、仕事をしていくうちにバイクの面白さを知って、免許を取りました。面白さがわかってくると、操作面に大きく関わるメーター表示のGUIデザインや、販促資材にも関わってみたくなる。まったく飽きないです。

遠藤:

僕はスズキも、スズキのバイクも好きだったのでこの会社を志望しました。海外で仕事をしていた時期には、イタリアで「スズキが好き」という人に何人も会って、この会社の存在の大きさを改めて認識して。それ以降「良いバイクを世に送り出すぞ」「スズキの良さを知ってほしい」という気持ちがさらに強くなりました。

松澤:

30年働いても、バイクづくりには未知のことがたくさんあります。僕には、それが面白い。自分にまだ足りてないものがあるのを実感できるのがいいなと思います。毎日好きなものに触れて、仕事しながら学ぶことができる。年々、スズキのバイクへの愛着も湧いています。もっと多くの人に使ってほしいという気持ちはみんなと一緒です。いつまでも新しいもの、面白いものを追求する気持ちを忘れないでいたいですね。

STORY 08

スズキの仕事に興味を持った学生へ 好奇心と積極性。
この2つがあれば、スキルはおのずと付いてくる。

石山:

デザインに興味がある人・デザインが好きという気持ちがある人なら、楽しく仕事ができる会社です。仕事で関われる範囲が広く、いろんなことに挑戦できる。様々なことを経験して、自己の成長を実感できます。

松澤:

英語が喋れないのに海外出張を経験した身からすると(笑)、好奇心と積極性があれば、あらゆることは乗り越えられます。良いバイクをつくるうえで大事なのは、どれだけ流暢に英語を話せるかより、現地の人がどのようにバイクを使って生活しているかを観察する目だと思います。そこからイメージを膨らませて、お客様のために価値ある製品をつくる。同じ志を持つ人と一緒に仕事できたらいいですね。

遠藤:

デザインを専攻する学生からのエントリーももちろん嬉しいですが、少し違う領域の学生にも会えたら嬉しいなと思います。というのも、僕は工芸科の出身で、デザインを専攻していたわけではありません。デザインをきちんと学んだのは社会人になってからです。それでも、今スタイリングデザイナーとして楽しく仕事ができている。それは、学ぶ環境や挑戦する文化がつくり上げてくれたものです。「この仕事をやってみたい」と思ったら、思い切ってエントリーしてもらえるとうれしいですね。

ーありがとうございました!

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